スタッフブログBLOG

銀歯の世界

2021年6月22日 (火)

カテゴリー:

銀歯とは、実際に銀で出来ている訳でなく、金、銀、パラジウム、という金属が主成分の合金で出来ています。この銀歯(金銀パラジウム合金)は保険での使用が認められています。

しかし残念なことに現在ある歯科の材料として銀歯はベストな材料であるとは言えないのが現実です。

 

実は金銀パラジウム合金は、戦後すぐに出来た保険診療制度に使う為十分な検証半ばで、見切り発車で組み込まれたという経緯があります。おおよそ80年前に「まぁ大丈夫でしょう」で決められた金属なのです。

ですので、ある程度の安全性は担保できているものの、口腔内の使用により溶け出したり、それによって劣化してしまう材質であることは否めません。溶け出しやすい、ということはそれだけお口の中が図と金属にさらされる状態になりますので、金属アレルギーが起こる可能性も高くなります。

 

精度に関しても金属を加工する時の収縮が大きいので、例えば金合金やセラミックなどの詰め物、かぶせ物と比べたら精密さにはどうしても劣ってしまいます。その為、ふちの部分に段差が出来てしまい、そこに汚れや、プラークがたまってしまうため虫歯や歯周病の原因になる可能性が高いです。

また、被せ物の寿命に関しては個人差がありますが、材料そのものの劣化が起こるまでの平均年数としては2年から5年、歯のトラブルが起きる平均年数が7年ほどといわれています。私自身診療をしている感じでは、やはり、ふちからの虫歯、歯周病などの歯のトラブルが数多く起こっており、それが歯の寿命に影響しているように思います。

 

実際、保険制度でも、一回被せ物を入れてから2年間やりかえてはいけないけど、それ以降はやりかえても良いというルールになっています。裏を返して言えば最短2年でやりかえの時期が来るということを踏まえての設定だと思います。ただ、歯は銀歯を付け替える度にけずらねばならず、そのうち削れる歯が薄くなってしまい、被せ物も出来ない、抜かざるおえないという悲しい事態になる事も多いです。

 

1人の歯科医師としての本音は、出来ればいい材料を入れて、歯を長持ちさせたいな、と言うのが心情です。銀歯を被せたら虫歯にならない、と思っている方は多いと思います。これが一番の歯にとって不幸な勘違いなのです。実は銀歯のふちこそ虫歯・歯周病の頻発ポイントなのです。大変かと思いますが、むし歯になる前以上に歯には気を付けて、意識してお手入れしてください。そして材質には良い材料を選択する。それが歯の寿命を延ばせる最良の手段です。

 


  • 0799-24-4618
  • お問い合わせ